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自分の思う"マイノリティ"という位置づけは正しいのか_前編

ここ数年で耳にするようになった言葉のひとつに「マイノリティ」があります。単純に自分が多数派あるいは少数派と考えていないでしょうか。
ウェブアクセシビリティを考える上で、今回は「マイノリティ」について見つめなおすことにしました。

手話言語条例制定の全国的な動き

2011年に障害者基本法が改正された。このとき、第一章総則 第三条「地域社会における共生等」に次のように記された。

三 全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。

このように手話が言語であると規定され、これを受けて「手話言語法」制定に関する質問主意書が国会に提出されるなど、手話を言語と認める手話言語条例が全国に広がっている。手話言語条例は2013年に鳥取県が初めて制定し、その後都道府県あるいは市区町村といった自治体で成立されており、2018年5月10日現在現在では22道府県/1区/137市/19町の計179自治体へと広がってきている。
なお手話言語条例マップが全日本ろうあ連盟で逐次公表されている。

全日本ろうあ連盟 手話言語条例マップ

なお東京では手話言語条例を定めた自治体が実は最近までなく、今年に入った2018年2月、東京都江戸川区に手話を言語と認める手話言語条例案が20日開会の区議会に提案され3月23日に可決、2018年4月1日に施行された。

(PDF)江戸川区手話言語条例

なお千代田区が「千代田区障害者の意思疎通に関する条例」を2016年10月20日に施行していて、第2条(定義)に

(2) 意思疎通の手段 言語(手話を含む。)、要約筆記等の文字の表示、点
字、音訳、平易な表現、代筆及び代読その他日常生活又は社会生活を営む上
で必要とされる補助的及び代替的な手段としての意思疎通支援用具等をいう。

といった具合に「手話を含む」としているが、手話言語条例のように手話という言葉が条例名に入っていないため前述の手話言語条例マップには含まれていない。

なお東京都及び荒川区でも同じ動きが見られる。

東京新聞 2018年2月17日 朝刊
「手話は言語」広がれ 都内初の条例、江戸川区提案へ

もともと国際的には2006年の国連総会で「手話は言語である」と定義した障害者権利条約が採択されており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックも控えるなども追い風として全国自治体で同様の広がりが考えられる。

手話がわからない私たち

日常的に手話に接する機会がなくても、テレビのニュースや官邸の総理談話等で手話通訳者が映っているシーンは見たことがあるだろう。
また学校や職場などの勉強会で手話を習ったというかたもおいでかも知れない。

先日私が参加した「アクセシビリティの祭典 2018」では、UDトークというう字幕と一緒に手話通訳者のかたもおられた。

なお、文字おこしをスクリーンに映す方法は以前からある。

私の経験では2010年前後だったと思うが東京女子大学で行われたウェブアクセシビリティのJIS X 8341-3に関するセミナー、その後2013年頃だったかNPO法人 ウェブアクセシビリティ推進協会の障害者基本計画と情報アクセシビリティのセミナーなどでもリアルタイムで字幕が提供されているのを見ている。
ただ、その時はパソコン通訳者のかたが登壇者の話をそのまま手作業でパソコン入力し、それをスクリーンに映し出していた。
(しかも、パソコン通訳者のかたはセミナーが行われていた東京都内におらず遠隔地(たしか長野)でセミナー内容を聞き取って入力されていたと記憶している。)

「アクセシビリティの祭典 2018」で使用されたUDトークは、自動で文字おこししたものを自動で英訳していた。自動なので発話によっては聞き取れず、違う言葉に置き換わっていることもままあったが、その修正は人力で行っていた。またUDトークはARモードもあるので、前方のスクリーンが見えなくてもそちらで確認できる。

聴覚障がいがない私にとっても字幕が見られるのは便利で、聞き取れなかった箇所は字幕を見ればよい。
実際、手話通訳のかたも字幕を確認している姿が何度か見られた。

もとい、手話に話を戻す。

電車で手話で会話しているかたたちをお見かけするが、その姿を目にしても何を会話されているか判らないというかたも多いのではないだろうか。私も判らない。

「アクセシビリティの祭典 2018」の手話のセッションでは聴こえる側が通訳してもらうという場面もあった。

なお「アクセシビリティの祭典 2018」ではみんなで手話講座もあった。

言語として考えると触れる機会が少ない手話よりも、中学、更に人によっては高校、大学でと授業があった英語のほうが、まだ理解できるのではないだろうか?

例えば手話で会話されている輪の中にいても、自分だけが判らないという状況になる。(実は類似の経験が過去自分にはあるのだが、通訳してもらわないと本当にわからなかった。ただニコニコと待っているだけ。)

"マイノリティ(Minority)"を辞書などで引くと、社会的少数者(しゃかいてきしょうすうしゃ)または社会的少数集団(しゃかいてきしょうすうしゅうだん)といったように訳されている。
そして対義語はマジョリティ(Majority)、多数派

社会全体の中で障がい者と健常者というくくりでみると、障がい者のほうが人数が少ないからマイノリティという扱いになるだろう。

では障がい者=マイノリティは絶対的なのだろうか。またマイノリティは不利なのだろうか。

マイノリティかマジョリティ、どちらかで分けなければならない時、手話で会話されている団体の輪の中にいる"手話"という言語が判らない私は、果たしてどちらに属するのだろう。
また「アクセシビリティの祭典 2018」手話のセッションにおいて、聴衆はどちらの立ち位置であり、話の内容が判るように配慮されていたのは誰だろう。

"マイノリティ"という位置づけについて、引き続き考えてみたい。

(次回「自分の思う"マイノリティ"という位置づけは正しいのか_中編」へ続きます)

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド ウエストコースト ©moya


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最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。

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仕事はウェブアクセシビリティ屋、プライベートではnzでトレランしたくて走っているmoyaです。民間企業勤務後、中央省庁でウェブアクセシビリティ担当。放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究。電子情報通信学会 正員、ウェブアクセシビリティ推進協会 賛助会員

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