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文字拡縮ボタンと政府の「Web サイトガイド」

先日「ウェブサイト上でみられる文字拡縮や読み上げツールについての調査(1)」では霞が関の中央省庁のウェブサイトを対象に調査をしました。今回はそれに関連するお話を、補足を兼ねて。
なお(1)に続いて「ウェブサイト上でみられる文字拡縮や読み上げツールについての調査(2)」(2018年06月12日)もnote公式の #デザイン 記事まとめ に、入れて頂きました。ありがとうございます<(_ _)>

調査では、各府省庁が独自に用意した文字拡縮ボタンについて、そのデザインや表現だけで複数の組み合わせになっていた。その要因は省庁ごとのこれまでの経緯や判断があり、様々な形となっているのだと考えられる。

ただ、中央省庁のウェブサイトやデザインの統一、掲載内容に関して全く決まりがないのか?というとそうではなく、例えばオープンデータの観点から Web サイト上に共通のカテゴリーを設け提供する情報についての指針各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議から出ている。ナビゲーションにおける大分類と小分類は、ここからきている。

Web サイトガイドについて

また内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室名で「Web サイトガイド」が出ており、その中でもWeb サイト構築時のトップページやトップページ以外のデザイン例を揚げるなど統一的なデザインの適用を推し進めようとしているのが見て取れる。また、
・複数の府省のサイトを閲覧しても迷わない、統一的なデザイン
・ディレクトリの共通化

が、Web サイト構築に当たっての基本的な考え方として明記されている。

なお「Web サイトガイド」は2015年6月5日に第 1.0 版が作成され、その後2016年2月1日に改定された第 1.1 版が最新版となっている。
念のため付け加えると、このガイドラインにはアクセシビリティについての項目ももちろん含まれている。

また日本語版以外にも
・英語版
・政策目的別‥特定プロジェクトや事業の広報等のために設けられたWebサイトを対象
・子供向けのガイドライン
がある。

事業者として、例えば特定プロジェクトや事業の広報等のために設けられたWebサイト構築に関わることがあるなら、(たとえ調達仕様書にこの「Web サイトガイド」について触れられていなくても)目を通しておくのがよさそうだ。

「Web サイトガイド」は政府CIO(*1)ポータルで公開されているので、だれでも閲覧可能。

Webサイトガイドに書かれている「文字拡縮ボタン」についての説明

このWeb サイトガイドの「ヘッダ」の項目に、文字拡縮ボタンについて書かれている部分を見てみよう。

3)文字サイズ変更
高齢者など細かい文字が読みづらい人向けに、文字サイズを変更する機能である。
文字拡大機能であることから「標準・大」の表記を推奨する。

「推奨」なので、これを決定事項として文字拡縮ボタンが一気にガラッと変わるのは現実的にも難しい。
‥というか、理想的には統一だが各府省庁が既にもっている莫大なコンテンツのヘッダー・フッター修正することで発生する過大な費用と手間を考えて推奨にしたのかも知れないけど。

ただ、ウェブサイトリニューアルがLANの入れ替えなどの機に定期的にあることから、その際に少しづつ統一されてくることも考えられる。なので先日の調査のような様々な「文字拡縮ボタン」採集も今のうちかも? と思いたい。

ディレクトリ名の使用についても

このWeb サイトガイドにはディレクトリ名についても記されている。

例えば地域を表す時に使用するディレクトリ名を「地域ディレクトリ」として次を使用するとある。

hokkaido
tohoku
kanto
chubu
kinki
chugoku
shikoku
kyushu
okinawa
kyushu-okinawa
hokuriku
shinetsu

これ以外の県名や地域名を基にディレクトリを作るときは参照元として総務省統計局の表記を示している。

言語ディレクトリについても、「Web ページの多言語対応をする場合、言語 の名称の略号を規定した国際規格(ISO639)もしくは、国名およびそれに準ずる区域、都道府県 や 州 といった地域を規定した国際規格(ISO-3166)に従うこと。」として次のように例示している。

日本語 jp
英語 en
中国語 cn

またコンテンツディレクトリについても示されており、一部を抜粋すると次のようなものがある。

○○省の概要‥about
採用情報‥recruitment
会見‥statement
政策一覧‥policy
法令‥law
白書や出版物、広報誌・パンフレット‥publication

ほかにもいくつか示されているため、ご覧になりたい方はリンク先(PDFファイル)の22ページから23ページでご確認を。

日本語版Webサイトガイド

ただ、ディレクトリ名について安易に変更してしまうとこれまでのユーザーの混乱を招く。

今年3月31日に、国税庁のWebサイトがリニューアルしたとき、トップページを除くほぼすべてのURLが変わってしまい、ちょっとした騒ぎになったことを覚えているかたもおられるだろう。私も当時すぐ試してみたが、

・旧URLにアクセスすると、国税庁のトップページにリダイレクトされる
・サイト内検索機能(Yahoo!検索)で検索しても過去のURLがヒットしてしまい、結局またトップページのリダイレクトされる

というありさまだった。

なおこのリニューアルに伴うURLの変更は、国税庁Web サイトガイドに準じてディレクトリ変更したものであったそうだが、大規模なURLの変更に伴うユーザーの混乱を、請け負った事業者や担当者が認識していなかったとは考えにくいので、自分としては判断時に一時的なものとして軽視した結果ではないかと想像している。

なお、どうすべきだったかも含め解説はWAICの翻訳作業部会主査 太田良典氏が、Web担当forumで言及されているのでそちらをご覧いただきたい。

最後に

政府の「Web サイトガイド」が出る2015年6月5日以前はこれに類するものがなかったかと言うとそうではなく、これに準ずるものはCIO連絡会議から出されている。例えば電子政府ユーザビリティガイドラインが2009年7月1日で出ているし、「Web サイトガイド」のように具体的にナビゲーションの位置やカテゴリーを記したガイドラインはあった。ただ皆さん体感されているように、ウェブサイトのデザインを始め取り巻く環境の変化は早く、また一般的にもルールや法規制は後追いになるものだ。
とは言うもののせっかくできた「Web サイトガイド」、整備が進むことを期待したい。

*1 政府CIOについての補足
政府CIO補佐官については後日機を改めますが、ひとまず詳しい説明を知りたい方は政府CIOポータルサイトで。

※ 余談だが、政府CIOポータルサイトの拡縮ボタンのデザインはスライダータイプ。2段階、「標準/拡大」で表記されていました。

(了)

以上、ウェブサイト上でみられる文字拡縮や読み上げツールについての調査のちょっとした補足でした。本日はこれにて‥。

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド 南島 ナイトキャップス ©moya

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最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。

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仕事はウェブアクセシビリティ屋、プライベートではnzでトレランしたくて走っているmoyaです。民間企業勤務後、中央省庁でウェブアクセシビリティ担当。放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究。電子情報通信学会 正員、ウェブアクセシビリティ推進協会 賛助会員

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ウェブアクセシビリティに役立つ調査結果。官公庁発表のもの、民間企業発表のもの。
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