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Blind Stationでどこでも白杖歩行体験~「アクセシビリティの祭典」所感_その2

2018年5月17日(木曜日)に行われた「アクセシビリティの祭典」ではセッション以外にも展示ブースが用意されていました。
その中で、ご出展されていた時代工房さんのVRコンテンツによる白杖歩行体験をしてきたので、今日はそのお話を。

目次

- 最初に — VR体験したことある?
- 限られたスペースで安全に白杖歩行体験
- 汗だくの6分
- 最後に

※時代工房ご担当者様より、Blind Station「視覚障害者体験VR」と呼んでおられると教えて頂いたので、一部表記を修正いたしました。
時代工房ご担当者様ありがとうございます! (14:40追記)

最初に — VR体験したことある?

この頃よく見聞きするようになったバーチャル・リアリティ、英語ではvirtual realityで略してVR。専用のエンターテインメント施設もあり、ゲームやアトラクションとして体験したことがある方もいるだろう。

私自身はテレビのニュースやIT関係の番組での紹介で知るのみで、初めて体験したのは昨年の9月、東京新宿で開催された第20回文化庁メディア芸術祭の受賞作品展でエンターテインメント部門優秀賞を受賞した「Unlimited Corridor」というVRが唯一だ。(以下2点はメディア芸術祭受賞作品展当日の写真)

こちらの「Unlimited Corridor」は東京大学の廣瀬・谷川・鳴海研究室と、Unity Technologies Japanとの共同作品だ。

鑑賞者の空間知覚を操作し、現実には限られた空間の中で、VR(ヴァーチャル・リアリティ)空間を無限に歩き回れるようにした作品。本作では、「リダイレクテッド・ウォーキング」と「視触覚間相互作用」という2つの技術を組み合わせて使用している。
曲面を平面として知覚させる視触覚間相互作用を利用し、直進していると感じられる通路の円周の大きさを、半径 3 mまで縮小し、比較的狭い実空間でも無限の空間知覚を得られるようにしている。
(メディア芸術祭パンフレットより抜粋。リンク先はPDF)

因みに廣瀬・谷川・鳴海研究室のウェブサイトのプロジェクト「デジタルミュージアム」は一見の価値あり。

体験するときには、以下の写真のようなVRヘッドセットにモーショントラッキング用のマーカーを付けたものを装着する。更に、ノートパソコンが入ったリュックを背負っており、ヘッドセットはそこと接続されている。
移動中は、写真にも写っているスペースを囲っているフレームに、センサーが複数個所ついており、それらでVRヘッドセットのマーカーを追っているという。

装着して壁伝いに歩く。本人としてはかなり移動した感があるが、実は壁伝いにぐるっと8の字を描くように歩いただけだ。

限られたスペースで安全に白杖歩行体験

「アクセシビリティの祭典」で展示されていた時代工房さんの視覚障害者体験VR "Blind Station"による白杖歩行体験は、更に限られたスペース内でその場を殆ど移動せずに体験できる。

白杖歩行体験は一般的に目隠しする人と誘導する人がいて、設定されたスペースを実際に歩きながら体験する。盲導犬協会や自治体などで開催されているのでそういったイベントや学校行事等で参加したかたもいらっしゃるかも知れない。

街中で誘導を受けながらの白杖歩行体験もあるが、階段や駅といった万一の危険を伴う場所ではなかなか体験は難しい。

時代工房さんのVRコンテンツによる視覚障害者体験VR "Blind Station"では、
"白杖を頼りに、駅で切符を買い電車に乗り込むまで6分間"
を体験できる。

この体験時の写真が残念ながらないのだが、他のかたが体験している時の模様を時代工房さんのツイートされていたので拝借。

スペース的には畳2畳ほどだろうか。(いや、それより狭い?) そして対角線上に2台のセンサーを立てている。

体験者はヘッドセットを装着。コントローラー(?)の操作方法のレクチャーを受けた。これ以外、「Unlimited Corridor」のような身に着ける物はない。
両手に持っているコントローラーを操作をし、VRのお財布から100円玉を取り出したり、左手で床を白杖で叩きながら移動する(実際には叩いてないし移動していないんだけどね)。

ヘッドセット越しに観ている絵は、こちらのツイートに映るモニター越しに見えるこんな風景。

汗だくの6分

さて、切符を買って電車に乗ろう。
既に駅の券売機の近くにいるようだから、する作業としては

券売機まで移動→行きたい駅までの料金確認→切符を購入→エレベーターで改札階へ→改札を通過→行きたい駅に向かう電車のホームに行く→電車に乗る

となる。日常では難なくこなしている一連の動作だ。6分あったらできそうな気がする。

だが実際は甘くない。
誘導を受けながら切符を買うまではできたが、エレベーターに乗りこんだつもりが全く違うスペースに入り込んでいたり、エレベーターに乗ったはいいがボタンがどこにあるかが見つけられなかったり。

結局乗りたかった電車は行ってしまった‥。

達成できなかった理由のひとつに私自身の方向音痴が災いしたのもあるが、周囲が確認できないことでぐん!と情報量が減ったことは大きい
今、私の日常で何気なくできていることは誰もができることではないんだな。もちろんこの先自分がずっとできるとの限らないのだけど。
ありきたりの感想だが、今回の体験でつくづく思った。

最後に

目をつぶって家の中を歩けば少しは「見えない」体験ができるが(危ないのでお勧めしない)、実際街に出て体験するのが一番だ。だが体験イベントとしては参加者や周囲の身の安全の確保が優先事項のひとつでもあろう。

時代工房さんの視覚障害者体験VR"Blind Station"であれば、ごく限られたスペースで体験(実感!!)できる。
聞くところによると、直前まで突貫工事だったとのこと。今後の開発に期待したい。

時代工房さん、貴重な体験ありがとうございました。

余談ですが、時代工房さんが無料配布されている「JIS X 8341-3:2016, WCAG 2.0早見表/逆引き表」は、ウェブアクセシビリティに関わるものにとって超お役立ちアイテムです!

(了)

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド ネルソン郊外 ©moya

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最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。

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仕事はウェブアクセシビリティ屋、プライベートではnzでトレランしたくて走っているmoyaです。民間企業勤務後、中央省庁でウェブアクセシビリティ担当。放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究。電子情報通信学会 正員、ウェブアクセシビリティ推進協会 賛助会員
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