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なぜPDFファイルをアクセシブルにしなくてはいけないのだろう-前編 ☆

<タイトルに「☆」がついているものは、企業や団体等で新しく担当になった方やウェブアクセシビリティって何だろう?と興味を持ち始めた方向けに書いています。>

なぜ国の機関や地方公共団体はウェブアクセシビリティをしようとしているのか、またはしているのか。また民間企業はしなくて良いのか。どこまで、いつまでしなければならないのか。

総務省では、地方公共団体等におけるウェブアクセシビリティの確保・向上のための取組モデルである、「みんなの公共サイト運用モデル」を公表している。最新版は

みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)

である。このガイドラインの中で、『(国の機関や地方公共団体は)速やかにウェブアクセシビリティ方針を策定・公開し、2017年度末までにJIS X 8341-3の適合レベルAAに準拠する。』とされている。適合レベルとはなんぞや?という話は後日。

さて、民間企業ではこういった縛りはないものの、障害者差別解消法が2016年4月に施行され、また2020年に東京オリンピック・パラリンピックがあることから、情報を誰しもがどの様な環境にあってもアクセスしやすい(=アクセシブル)にする動きが出てきている。
一般的な企業がウェブアクセシビリティに配慮するメリット・デメリットは、これまた機を改めて‥。

PDFファイルがなぜこれ程までに世に溢れているか

PDF形式はAdobe社が開発したものであり、紙に印刷するのと同じ体裁で表示されることから印刷会社に入稿する時に使用されている。なおPDFとはPortable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)の頭文字をとった略称である。

PDFファイルがこれだけ使用されるようになったのには、Adobe社がPDFのリーダーを無償配布したことかことが大きい。確か当初は有料であったと思う。それが無償提供となり、更に開発側には国際標準化機構(ISO)で管理されているオープンスタンダードとして提供もしている。

昨今、PC以外にもフューチャーフォンやスマートフォンでもPDFファイルを表示することができるのはそういった背景があるからで、普及率については100%ではないがかなり高いと聞いている。以前、Adobe社の営業担当者や開発担当者と話をする機会があったので聞いてみたのだが、そんな感じで言葉を濁されたゆえ、細かい数値は知りえない。(すいません)

ウェブサイトを更新している側としても、HTMLでテキストを書くよりもオフィス系ソフトで作成した配布文書をそのままPDFファイルにし掲載したほうが、配布文書と見た目変わらずすぐ掲載できるということで「楽だ」と感じるのだろう。(本当は違います)

また、かつてはPDFファイルは検索エンジンの検索結果に表示されなかったが、今やPDFファイルが当たり前のように引っかかるようになった。
検索結果にHTMLファイル以外の情報としてPDFファイルが表示されることにより、ユーザーが得られる情報量が増えたことはメリットであるが、同時に問題もおきている。

PDFファイルが検索結果で表示されることの問題点

ハイパーリンクという最大の特徴があるHTMLファイルと違い、PDFファイルは閲覧者を『移動』『誘導』させることが不得手だ。

むろんPDFファイルの中に具体的なURLを書いて、そこをクリックしたらWebブラウザが開きWebページが見られるといったことは可能だが、仮にリンク先のURLが変わった時はHTML以上に手間取る。後任が変更に気づき、PDFファイルのもとになったWordなりPowerpoint等の文書を修正しようと探しても見つからない、だから修正できないというのは本当によくある話である。

また、定期的な公表物の場合最新版が公表されたとしても、検索結果にはいつまでも古いものが表示され続けることも多い。仮に、検索で古い公表物のファイルを見に来た閲覧者がいても、古いPDFファイルには最新のファイルへのリンクがないし、パンくずリストもない。むろんサイトマップへもいけない。回避策ではないが、ちょっとしたTipsはあるので次回最後に記す。

たどり着けないページや読めないページは情報発信したことになるのか

国の機関や地方自治体のウェブサイトを見ると、PDFファイルが多用されていることに気がつく。これには前述したような容易さに加えいくつか理由があるのだが、その結果として視覚障がい者が情報を得られない、或いは正しく読み上げられないといった問題点がある。実例としては、東日本大震災や熊本地震等発災時に

・避難所等の情報や地図が画像PDF(スキャナーでスキャンしたもの等)のみで掲載され、音声読み上げソフトが使用できず、視覚障害者が避難情報を得られない。

という声が多くあがった。

もともと視覚障がい者団体から国の機関や地方自治体には、PDFファイルが正しく読み上げられないという声が届いており対策が求められていたが、果たして災害発生時も同様で日常生活以上にイレギュラーなだけにさらに深刻である。

いまどき、国の機関も地方自治体も当たり前のようにウェブサイトをもち、国民や住民に向けて情報発信している。むろん民間企業もBtoC、BtoBにも関わらず自社サイトをもっているところが多いだろう。
だが、いくら更新してもそれがたどり着けないページや読めないページだとしたら? 正しい情報発信と言えるのだろうか。(次回へ‥)

なぜPDFファイルが正しく読み上げられないか? それにはいくつかの原因があります。例を交えて解決方法を含め、次回記載します。
→ なぜPDFファイルをアクセシブルにしなくてはいけないのだろう-中編 ☆

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド クイーンズタウン©moya

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最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。

[謎々]5人でかくれんぼ。2人見つかりました。 残り何人?
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仕事はウェブアクセシビリティ屋、プライベートではnzでトレランしたくて走っているmoyaです。民間企業勤務後、中央省庁でウェブアクセシビリティ担当。放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究。電子情報通信学会 正員、ウェブアクセシビリティ推進協会 賛助会員
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