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ウェブサイト上でみられる文字拡縮や読み上げツールについての調査(3)

公共機関のウェブサイトで見かける文字拡大・縮小切り替えボタンや読み上げツールについての調査の続きです。今回は「読み上げツール」がおススメできない更なる理由と実際の状況を調査した結果をお知らせします。
これまでの調査については、次のマガジンにまとめました。
文字拡縮ボタンや読み上げツール実態調査 #a11y

[お知らせ] 明日の更新は17時半頃予定です。

今日は「読み上げツール」がおススメできない、更なる理由を取り上げる。

前回のおさらいで、公共機関のウェブサイトのヘッダーに読み上げツールの種類を今一度。なお「〇サイト」の〇の数字は、対象とした霞が関官公庁サイト計44サイト中幾つであったかという数値。

1) Easy Web Browsing‥4サイト
2) やさしいブラウザ・クラウド版‥4サイト
3) ZoomSight‥3サイト
4) Read Speaker Enterprise‥1サイト
5) Read Speaker Speech Panel‥1サイト

(これ以外の31サイトは、読み上げツールなし)

【お詫び】 Read SpeakerとSpeech Panelとしておりましたが、もともと同じ製品で判り難いため、訂正し「Read Speaker Enterprise」と「Read Speaker Speech Panel」に変更させて頂きました。大変失礼いたしました。

この中からEasy Web Browsingを今回取り上げる。

Easy Web Browsingの場合

読み上げツールは、読み上げ用のプラグインやアプリケーションなしでも使用できるものが多いがEasy Web Browsingは、最初にダウンロードが必要だ。
IBMが開発されたものであったが、この開発は終了している。またIBMによるブラウザ等のバージョンアップ対応及び保守は行われない。

なお、継承ツールは前述した5種類の読み上げツールのうち2番目の「やさしいブラウザ・クラウド版」となる。

動作環境の問題

こちらのページで動作環境を確認すると2010年3月現在で更新が止まっているのだが、次のようになっている。

OS: Windows Vista、7、8
ブラウザ: Microsoft Internet Explorer(以下、IE) 7.0、8.0、9.0、10.0、11.0

国土交通省のウェブサイト内にあるEasy Web Browsingの動作環境についても同様。(こちらはOSにWindows XPが入っている)

私自身が使用している環境は、Windows10、ブラウザ Google chrome(バージョン: 67.0.3396.79)、IEであれば バージョン11だが殆どchromeを使用しており何か理由がなければIEは使っていない。

一般的にはどうなのだろうか。ここで、Webブラウザシェアをチェックしてみよう。

2018年5月のデスクトップのブラウザシェアをStatCounterで確認してみた。なお、グラフはStatCounterで確認できる日本のシェアではあるが、ご自身が運営しているウェブサイトの来訪者のブラウザシェアを知りたい場合はアクセス解析でご確認を。

ブラウザシェア(%)
chrome 47.74%
IE 21.8%
firefox 12.14%
safari 8.26%
Edge 6.88%
それ以外 3.18%

グラフリンク先: StatCounter Global Stats - Browser Market Share

2010年3月現在のブラウザシェアでは、IEが断トツでトップ(*1)だったが今となってはIEに特化したツール、しかも更新されていないものがそのまま使われているのはいかがなものかと思う。

Easy Web Browsingのみを使用して閲覧しているユーザーがいるのであれば、公共機関のウェブサイトを運営している側としては切り捨てる事になりかねず難しいところだろうが、自分が運営する立場であれば前回記載したとおり、音声読み上げを常用している方はご自分のツールを使用されていると仮定して、そちらの使用をお願いすることになるのではないかと推察する。

そこでしか使わないツールをわざわざインストールし、学習させるのはユーザーにとって負荷でしかない。

ひとまず実態調査のうえ、LANの入れ替えやウェブサイトリニューアルを機に、後継ツールに移行するか無くすかといったところではないだろうか。

今日のまとめ

今日は「読み上げツール」がおススメできない、更なる理由のひとつとしてEasy Web Browsingのケースを取り上げた。

特定のツールに依存し提供するためには汎用性、また継続性も考慮する必要があるだろう。特にウェブページは閲覧しているユーザーの閲覧環境に依るところが大きい。

公共機関ウェブサイトのような大規模にコンテンツを持つ場合、CMS(*2)での管理以前からの古いページも施策的に残されていることが多い。テンプレートが統一されていないページもあるだろう。(ヘッダーのどの部分にあるとかバラバラな上、外した後のチェックは不可避)
後継ツールに移行するにしても取り外すにしても、運用側としても限られた時間内、予算内、人員諸々の事情でかなりの負荷だろう。

なお、Easy Web Browsingそのものや導入自体を疑問視しているわけではない。ウェブサイトを取り巻く環境が、数年前とはガラッと変わるということも大きい。
当時としては必要性が高いと判断したのだろうし、PDFファイルも読み上げられ、また文字拡縮や行間、背景と文字色の調整ができるなどメリットもあったのだろうと推察する。

(以上、この続きは次回)

*1 2010年3月当時のブラウザシェア(デスクトップ&日本): IE 62.98%、firefox 22.33%、safari 6.14%、chrome 5.27%、opera 1.75%、その他 1.53%

*2 CMS: Contents Management Systemの略。コンテンツ管理システム

ここまでお読みいただきありがとうございました。
いつも朝の8時半に更新していますが、明日は試験的に17時半ころに更新します。また明日と明後日の内容は、今回のテーマとは異なります。
良い一日&良い週末をお過ごしください。

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド 南島西海岸 ©moya


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最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。

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仕事はウェブアクセシビリティ屋、プライベートではnzでトレランしたくて走っているmoyaです。民間企業勤務後、中央省庁でウェブアクセシビリティ担当。放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究。電子情報通信学会 正員、ウェブアクセシビリティ推進協会 賛助会員
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