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PDFもウェブコンテンツとして使うならアクセシブルに

あいかわらずWebのコンテンツとして使用されているPDFファイルだが、ならばPDFファイルもHTMLと同様にアクセシビリティに配慮した作りとしなければならない。

官公庁のサイトを見ても、PDFファイルについて取扱いに苦慮している感がある。対応できていない要因として①内部文書作成時にテンプレート化されていないこと、②審議会や委員会など外部からの資料提供が多く予めアクセシブルな文書として作成を求めるのが困難であること、③過去のデータについては遡っての修正が実質的に難しい—といったことが考えられる。

内閣府ウェブアクセシビリティ方針』より
・アクセシビリティ方針制定後に内閣府で作成するPDFデータ→HTMLページがないPDFファイルは準拠に努める。基本的にはPDFファイルと合わせてHTMLページも準備するようにする。
・アクセシビリティ方針制定前に作成したPDFデータ
→例外とする。担当する部局名等問合せ先を明記し、問い合わせ都度、電話・メール・FAX・郵送等の代替する手段で内容を説明するよう努める。
・外部機関より受領したPDFデータ
→例外とする。担当する部局名等問合せ先を明記し、問い合わせ都度、電話・メール・FAX・郵送等の代替する手段で内容を説明するよう努める。

なお、ここに書かれている「アクセシビリティ方針」とは内閣府で作成・運用しているものである。『JIS X 8341-3:2016』で、各々の運営組織に対してウェブアクセシビリティ方針を定めることを推奨している。

ウェブアクセシビリティ基盤委員会: ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン

ウェブアクセシビリティのおひざ元である総務省はいかがかと見ると、事業者による「検査証明書」とやらを掲示しており、AAを満たしていると記載しているのだが、検査対象となったファイルURLの一覧を確認するとこの中にPDFファイルが入っていない。チェックした対象ページを見るとPDFファイルが入っているので、コンテンツの一部としてチェックしたのか?と思い、試しにそのPDFファイルをアクセシビリティチェッカーに機械的にかけてみたけど、はたして不合格であったよ。むむむっ? PDFファイルはチェックの対象として外しているのか?

因みに検査したとあるHTMLファイルにしても気になる箇所がある。
下の画像は、「検査証明書」に含まれていた総務省|平成28年度普通交付税の6月概算交付及び9月定例交付分の繰上げ交付のスクリーンショットである。

このページを見ると

報道発表資料は、こちらです。

となっているので、目視チェックはせずに機械的にのみチェックしているんだろう。少なくとも「ここ」だの「あそこ」といった指示詞にリンクを張らないというのは基本だ。修正するとしたら例えば

報道発表資料 PDF形式「平成28年度普通交付税の6月概算交付及び9月定例交付分の繰上げ交付」

などとしてはいかが。

(総務省サイト全体を管理している部署と情報バリアフリー環境の整備を行っている部署が違うことを、念のため付記しておく。)

同じ事業者の「検査証明書」は、他省でも見かける。そこも同じような方針で検査しているのではないかと推察。よもや『PDFファイルはコンテンツ対象としなくていい』なんて担当部署で考えていたり、或いは事業者が「進言」していたりはしないと思うが。

意地悪く、先の総務省のページを総務省提供の無料アクセシビリティチェックツールmiCheckerにかけたところ、css内でフォントの大きさが相対的に指定されていないというコメントが出た。これについては同じテンプレートであれば同様の指摘が出ていると考えられる。どうも「検査証明書」はPDFファイル以外のファイルもチェックの対象としていないのか?などと邪推してみたりして。
miChcker使ってないんすか。

PDFファイルのアクセシビリティの話に戻ろう。

WCAG 2.0 達成方法集 PDF テクノロジーノートには「PDFファイルの作成とアクセシビリティ」の項がある。実務に入ると都度の判断が必要ではあるが、ベースとなる考え方がここに書かれている。チェックツールの紹介もされている。先の総務省のPDFファイルのアクセシビリティチェックを私が行った際は、Adobe Acrobat DC Proを使用した。予算面でProは購入できないというケースもあると思うが、無料ツールもあるので活用されたい。

なおHTMLで情報提供できているなら、PDFファイルのアクセシビリティは必ずしも対応する必要ないと、私は考えている。ただ、PDFファイルは基本的にボリュームが多くそれをHTMLで提供すると手間がかかるだけではなく、ページ数もPDFファイル以上になるのが目に見えている。PDFファイルにする前に、必ずWordやPowerPoint他で作成しているはずなのだから、その段階でアクセシビリティを念頭におくのが一番早いのだが‥たまごニワトリ論争になるのでこれについては後日改めたい。

また、ウェブアクセシビリティの実務に関わる法令やツール等についてもnoteで追々記述する。ウェブアクセシビリティについて書いたそれらnoteはマガジンとしてまとめていくので固まりとして読まれる場合はそちらをフォロー頂きたい。

(了)
(ヘッダー写真 撮影地:ニュージーランド©moya)

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最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。

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仕事はウェブアクセシビリティ屋、プライベートではnzでトレランしたくて走っているmoyaです。民間企業勤務後、中央省庁でウェブアクセシビリティ担当。放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究。電子情報通信学会 正員、ウェブアクセシビリティ推進協会 賛助会員

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